いのやー、この読後感、堪らないね
またSF?どこが面白いの?
おぞましさ
え?
設定のおぞましさが堪らないんだよね
うちの夫、サイコパス?
サイエンス・フィクション(英語: Science Fiction、略語:SF、Sci-Fi、エスエフ)は、科学的な空想にもとづいたフィクションの総称。
フリー百科事典Wikipediaのサイエンス・フィクションのページより
著者ほろろのプロフィール
- Kindle、楽天kobo、書籍と媒体に拘りなし。
- 好きなジャンルはSF、ミステリー、ホラー
- twitter:ほろろ(@OchaGenmaicha )
SFの魅力は設定のおぞましさ!?
先述したSFの引用に「空想」の二文字がありました。
これは即ちどんな奇想天外な設定でも受け入れてくれるジャンルだと言えます。
作家が自由にアイディアをぶち撒けられるのだから面白さの期待値は跳ね上がります。
そうは言ってもバックボーンに科学による一見怪しげとも言える裏付けがあると、読者である僕らの没入感はより深くなり読み終えた時にはカタルシスを感じることでしょう。
SFに関する講釈はいいから、その魅力がおぞましさって何なの
SF作品の設定の自由度はかなり高いです。その分いくらでもおぞましく邪悪な世界観を構築できます。
総じて、そのような世界観ではいとも容易く重要な登場人物が死にます。そして、そこにはドラマが生まれます。
できる限り複雑な設定に抱かれて死んでほしい
やばいな、こいつ・・・・・・
そんなSF作品を大量に貪り、多くのドラマを見てきた僕が今回は巨匠H・G・ウェルズ作タイム・マシンをご紹介します。
タイム・マシン ハーバード•ジョージ•ウェルズ(著)
タイム・マシンの概要
SFと言えばタイムスリップだよね
何の捻りもないタイトル
だって、タイム・マシンってこの作家が作った言葉
ドラえもんより前!?
\\ //
うん、19世紀の小説
こいつ、また古い本の紹介・・・・・・
タイム・マシンがあったら
過去に行きますか?未来に行きますか?
この質問をSF小説のキャラクターにしてみましょう。
多くのキャラクターが過去に行くと答えます。
なぜかというとドラマに広がりが生まれるからです。
過去で起こしたちょっとした行動で未来の改変が起こり、それは未曾有の大惨事を引き起こすことになります。
バタフライ効果ってやつだね
- 未来で生まれるはずの自分が存在しないことになり消えかかってしまう
- 歴史が変わって第二次世界大戦の戦勝国が変わってしまう
- ギャンブルで大儲けしたもののタイム・パトロールに取り締まられてしまう
このように物語を面白くするトリガーは至る所に存在します。
一方、未来に行くとどうなるのか?
時間は人為的な力が加わらなければ未来に向かって進むものです。キャラクターがどんな行動を起こしても過去が変わるはずがありません。
結果としてジャンルがタイム・スリップものではなく、ただの未来世界での大冒険になってしまうんです。
ところが、本作はタイム・マシン登場の原典にして未来に行くという読者への裏切りを見せてくれます。
なぜこれを取り上げた
ところが、これがなかなか捻られているのさ
タイム・マシンのあらすじ
主人公(タイム・トラベラー)が訪れるのは80万年後の未来。
人間は皆女性の子どものような姿に進化していました。
未知の言語を操るものの知能は幼児並み。
食性は果物が中心でこれがどこからともなく供給されているようです。
楽園のように光溢れる地上で牧歌的な暮らしを謳歌しているのです。
幸せな未来だね
表 向 き は な
なぜ人間はこのように進化したのか--
それは文明の成熟の結果、労働の必要がなくなったからです。
肉体労働がなくなり、筋力を必要としなくなった身体はどんどん小柄で女性的になっていきました。
使わなくなった脳みそはそのシワの本数を減らし知能は下降の一途を辿りました。
その結果、新人類「エロイ族」が誕生したのです。
退化じゃん
行き過ぎた文明も考えものだね
もしかしてロボットに支配されているの?
そうであればまだ幸せだった・・・・・・
先述したどこからともなく供給される果物。
これを供給している存在が劇中で暗躍します。
そこに浮かんでくるテーマは格差社会。
現代にも通ずるテーマで作家ウェルズは当時19世紀のイギリスに警鐘を鳴らしたかったのかもしれません。
格差なんて未だに広がっているじゃない
その是非はここで論じないけど、良くも悪くも人類は変わらんね
おぞましいってこの社会のこと?
いや、そんな政治的な話じゃない
存在はどうしてエロイ族に果物を提供するのでしょう。
思い出してください。
僕たち人類が自分たち以外に食糧を供給する対象って何だったでしょうか?
また、何を目的に供給しているのでしょうか?
・・・・・・
増やして食う
おい、やめろ
- 本当にあるかもしれないディストピアが舞台
- タイム・スリップによる派手さはないが、過去に人類が犯し続けた営みによって狂った未来世界での冒険はスリル満点
- 暗躍する存在の恐ろしい正体
- そして、更なる未来に待っているものは!?
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ところで、タイム・マシンには続きがあります。その名もタイム・シップ。
タイム・マシンは19世紀に書かれた小説ですが、次作となるタイム・シップは21世紀に書かれた小説です。
作家の寿命どうなってんの
実は過去に戻って書いていたのかもよ!
タイム・シップ スティーヴン・バクスター(著)
タイム・シップの概要
続編タイム・シップはなんと全く別の作家によって書かれた作品です。
つまり、同人誌?
いや、公式なんだ、これが
どういうことかと言うと、ウェルズの遺族が正式な続編としてお認めになっているんです。
こういう作品は本家を越えられず、駄作になるのが世の定説です。
ところが--
英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞受賞。
「BOOK」データベース
脳みそ蕩けるレベルで面白いです。
先述した通り、タイム・トラベルものの面白さの味噌は「過去で起こした行動による未来の改変」にあります。
タイム・マシンは終始未来での出来事を描いた作品なのでその重要なピースが欠けていたのですが、本作ではそれを補う形でストーリーが展開されていくんです。
タイム・シップのあらすじ
最初のタイム・トラベルから帰還直後の1891年、主人公は友人たちに自身の驚きの体験を語る場を設けていました。
とても信じられないという反応の友人たちでしたが、しかし彼にはそんなこと以上に気にかかっていることがあったのです。
それは80万年後の未来世界において起きた悲劇--
そこで出逢ったエロイ族の女性ウィーナを危険に晒してしまったことでした。
タイム・マシンならば悲劇が起きる前の時間にタイム・スリップを行い彼女を救い出すことができる。
そう考えた彼は矢も盾もたまらず再びタイム・マシンに乗り込むのでした。
そして、降り立った80万年後。
そこにかつてのエロイ族の姿はなかったのです。
つまり、未来の改変が起きたってこと?
そういうこと。冒頭からぶち込んできたね
エロイ族は消えたの?
新生エロイ族として核戦争している
あのエロイ族が戦争!?
筋力も知能も現代人に劣るエロイ族に進化するはずだった人類は新たな歴史でどのような歩みを進めたのでしょうか?
改変はどうして起きてしまったのでしょうか?
そして、新たな未来で彼を待ち受ける存在とは?
本作で主人公が行うタイム・スリップはこれに留まりません。
複数の編に分かれているので見てみましょう。
※各編のタイトルは僕がつけたものです。カッコ内の時間経過は最初の旅を始めた1891年を基準にしています。
- 第2の未来編(およそ80万年後)
- 対ドイツ戦争編(およそ20年前〜50年後)
- 新世界編(およそ5000万年前)
- 捨てられた地球編(現代)
- 最終世界編(時間の彼方)
未来に過去に縦横無尽だね
全部地続きの話だから驚きよ
途方もないスケールで描かれるタイム・シップの旅はその果てに僕ら読者にどんな景色を見せてくれるのか--
ぜひご自身の目で確かめてみてください。
\タイム・シップを購入/
※2022年9月現在Kindle Unlimitedでは読めません。
読むのは大変だから無理だけど、続きが知りたい?
そんな欲しがり屋さんにはリクエストしていただければ僕がTwitter上で行っているスペースでもう少しだけ踏み込んだあらすじをお話しさせていただきます。
\きっと買って読みたくなる!/
タイムマシン(映画版)
実は映画版もあって・・・・・・
まだ語る気!?
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